ちなみに、今回紹介した3種類の奏法は、踏み方こそ全然違っても、原理自体は全く同じという事は、意外と知られていません。
その原理とは、<1打目と2打目を、違う場所で踏む>という事です。それによって、速い2連打が可能になるのです。
一般に「ペダル上で足を滑らせる」と言われている、スライドステップも、実際には、ペダルの手前と奥の2箇所を「素早く踏み分ける」という奏法です。
スライドステップを身に付けようと、ペダルの上で、ひたすら足を滑らせている人は少なくないと思いますが、それでは、よほど運が良くない限り、いつまでたっても身に付きません。
足を「滑らせている」ように見えるのは、ペダル上の2箇所を踏み分けている「結果」で、原因ではないからです。
いままで、滑らせる練習をしても、スライドが出来なかったという方は、ぜひ、動画を何度も見直して「踏み分ける」練習をしてみて下さい。
スライドステップは、足のダブル奏法の中では、最も簡単であり、パワーが出しやすく、2打の音が揃いやすく、速度も出しやすいので、特にポップスやロックの分野では、非常に実用性が高い奏法です。
早い時期に身に付けてしまう事を、オススメします。
| ※スライドステップ習得のコツ
最も大切な事は、必ずヘッドにビーターを止めた状態から始め、1打目は、つま先で軽く「つつく」感じにして、2打目は必ずクローズにする(ビーターを打面に止める)という事です。
意外に知られていない事ですが、スライドステップの元祖、ジェフ・ポーカロは、バスドラムを、すべて「クローズ」で踏み、オープンは使いませんでした。(ペダルのバネが非常に弱く、オープンは不可能)
スティーヴ・ガッド以降、日本では根拠のない「オープン優位論」が蔓延していますが、すべてクローズで踏んでいたポーカロはキックが下手なドラマーでしょうか? また、ロック調の曲だと、ガッドのキックが弱いと感じるのは、僕だけですか?
オープンは、フュージョンやジャズには良くても、ロックには向きません。 「オープンに変えてからキックのインパクトが弱くなった」と感じている方には、即、クローズに戻す事をオススメします。それだけで問題は簡単に解決します。 |