でも当時は、フュージョン系ドラマー達の緻密で正確な演奏と比べて、たいていのロックドラマーの大雑把さが嫌になっていたんで、ロックドラマーなのに、フュージョンドラマーに負けないテクニックや正確さを持った人が出て来たと思って、「今後、要チェックだな」と。(*2)
で、その後、友人に、マイケル・シェンカーの『アームド・アンド・レディ』(スタジオ盤)を聴かされて、それまで耳にした事の無い、物凄く緻密で正確で、それでいてパワフルな8ビートにビックリして「これ誰!?」「え〜と、サイモン・フィリ…」
その瞬間に「要チェック」から「絶対チェック」に昇格ですよ。当時の僕にとって、フュージョンのテクニックと、ロックのパワーを両立させたスタイルというのは、一つの理想でしたからね。
もちろん、それ以前にも、ビリー・コブハムや、ナラダ・マイケル・ウォルデン。トニー・ウイリアムス、テリー・ボジオ、ニール・パートなんかがいたわけですが、コブハムやナラダは変態過ぎ(笑)、トニーはジャズの香りが強すぎ、ボジオやパートは、ロックにしては知的過ぎるアプローチが、僕にはダメでした。
そこに、メンタル的には完全にロックドラマーだけど、テクニックではフュージョンドラマーを軽く凌駕するサイモン・フィリップスが出て来て、ピッタリはまったんですよ。
しかも、自分が左利きである事に悩んでいた時期でしたから、両利きで、オープンハンドでプレイする人だと知って、「まんま理想じゃん!」と思ったわけです。
もっとも、当時の僕にとって、『スペースブギ』なんかは難し過ぎてどうにもならなかったんで、フレーズのコピーこそ、あまりしてないですが、かなり影響受けましたよ。
この人の教則ビデオの時のタムの音なんか、そのまんま僕の理想の音で、今レッスン室に置いてあるタマのドラムセットを買ったのも、同じタムの音が欲しかったからですし、ヘッドホンを固定するためのヘアバンドとかまで真似してました(苦笑)。
で、そんなサイモン・フィリップスの「最盛期」は、一体、いつなのか? という事になりますが、僕が思うに、1980年代中盤〜90年代始めなのではないかと。そして、個人的に最高だと思うのが、88年にミック・ジャガーのツアーで来日した際の、TV放映された東京ドームでのライブです。
ちなみに、この時のライブは、僕が今までに目にして来た、あらゆる映像化されたライブの中でも、最も優れたライブだと思ってます。(実際にドームで聴いた友人は、音が悪すぎて楽しめなかったと言ってましたが…)
日本がまだバブルの真っ最中で、よほどギャラが良かったのか、ミック・ジャガーを始めとしたメンバー全員が、やけに楽しそうに演ってるんですよ(笑)。
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